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詩と映画と日記

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北の零年



監督
行定 勲

キャスト
吉永小百合
渡辺 謙
豊川悦司
柳葉敏郎
石原さとみ
石田ゆり子
香川照之
平田 満
鶴田真由
石橋蓮嗣



『北の零年』

和やかに楽しげに阿波の
人形浄瑠璃の場面から始まりますが
スパッ! と人形の首が切り落とされるシーンに
不気味な予感がしました

明治維新直後の明治3年
阿波藩の洲本城代家老、稲田家の家臣団が
新政府の新たな身分制度に不満を抱き
『庚午(こうご)事変』と呼ばれる騒動を
起こした結果

主従546名は北海道への移住を命じられました
先遣隊は家老の堀部と小松原英明が中心となり
北海道の静内に渡ります

続いて第一陣が半月の船旅に疲れて到着しました
この中には
吉永小百合が演じる小松原英明の妻志乃と
娘の多恵の姿もありました

新しい自分たちの国を造ろうという
心意気と夢を持ち
原野を切り開き樹を切り倒して
殿の住まいを建て
ひたすら待ちに待った頼みの殿は
来るには来ましたが

廃藩置県のため
彼らが苦労して開拓している土地は
もはや政府のものになったと告げて
去ってしまいます

彼らは頼りと思う殿に棄てられたのでした

雄々しく強く見えていた彼等武士は
国があり藩があり殿が有ってこその
弱い存在だったのかもしれません

この予期せぬ出来事に遭遇した時の
渡辺謙の哀しみと苦悶が
涙もこぼれぬのに
あの大きな目に余さず表われていて
さすがです

殿に見捨てられた彼らは
帰る国もなく髷の髻を切って
浪人と成り果てました

そして慣れぬ百姓仕事に励みますが
この北の地では
淡路の稲が育たないことを知り
北海道でも育つ籾を探すようにと
英明を札幌へ行かせました

ところが半月で戻るはずの英明は
一向に戻らず
家族は裏切り者の妻、娘と蔑まれ
一同は苦難の連続の日々を過ごします

そんな中での爽やかさは
夫を頼るだけのたおやかな妻であった
志乃(吉永小百合)が
困難に耐え切り抜けて
凛とした武家の女の
すがしさを見せてくれますし

同じく歴史の狭間で絶望に生きる
会津藩の男アシリカを
豊川悦司が実に男らしく
素敵に演じています

渡辺謙の役どころは
とても難しかったと思いますが
多才な俳優がそろっており
重厚で見どころが多く
時間の経つのを感じさせない映画でした


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